岐阜の農家と地元の高校生を繋ぐ、物販イベントコーディネート

岐阜市内の商業高校から昨今様々な場面で取り沙汰されている『SDGs』の課外授業の一環を私たち「マムクレイン」にご依頼いただきました。

商業科のカリキュラムとして生徒たちが自ら商店を立案し、実際に学内で開催されるイベントや課外イベントで販売を行う恒例行事があるとのことでした。今回ご依頼いただいた内容はそのイベントの際に、見た目や販売基準に満たないサイズのため破棄されてしまう多くの「規格外野菜」を活用できないかとのことでした。私たち「マムクレイン」の活動と正にリンクする課題の授業です。
早速、知人である協力農家さんをご紹介し、生徒の皆様に野菜の収穫から体験させていただくことにしました。実際に地元農家さん達とお会いし、農業の現場の話などをお聞きすることで、双方にとても喜んでいただけました。より深い経験を提供できたと実感しています。

次は生徒たちが自分たちの手で収穫した野菜を使い、発酵食品開発の専門家と岐阜市内で人気のタイ料理屋さんにご協力いただき、オリジナルのお弁当を開発しました。そして、この完成したオリジナル弁当を2022年9月に岐阜市内で開催される課外イベントで実際に販売することになりました。

ナスや甘長ピーマン、十六ささげ、オクラなど…。
夏野菜としてのピークを過ぎ、規格外となりそうな野菜たちを収穫しました。
初めての収穫体験に「虫が～。いやだ～。」と、ワイワイ楽しそうな参加した女子高生たち。

彼女たちは、今まで名前も知らずに食していた野菜たちの収穫体験を経て、実際にどのように育っているのか、どのように育てられているのかを知ることができました。土と触れ合うことが減った現在において、とても大切な体験が提案できたと感じました。

「JA（農業共同組合）と契約している農家は制定されている「規格」が決まっているので、規格外野菜が存在します。
その点、私たちのように無農薬野菜を作っている農家には「規格外」といった概念はありません。
極端に形が悪いものや大きく育ちすぎてしまったもの、シーズン終わりで、もうこれ以上成長しないな。という野菜はありますが、基本的には全て大切に扱っています。食べられる野菜は有り難く頂いております。」
「現在、日本の農家がかなり減ってきています。もし有事が起こったりしたら、たちまち食べる物が手に入らない危険性があります」と、これからの日本を危惧する体験談を伝えてくれました。

オリジナル弁当を販売するイベントが近づいてきた某日、高校の教室内にて、今回ご協力いただく飲食店さんとの打ち合わせを行いました。
「弁当販売時に注意すること」や「お客様の視点に立って販売すること」の大切さなど、第一線で活躍されている現場の方の声に高校生は真剣な眼差しで話を聞いていました。

「マムクレイン」としては販売当日のことだけでなく、ひとつでも多くのお弁当が売れるように、ポスターやお弁当に貼るブランドシールの作成、SNSのアカウント開設し告知するなど、事前の販促活動の大切さをお伝えしました。

9月23日（土）10：00～
あいにくの荒天にも関わらず、イベントマルシェの来場者総数は1,300人を記録したそうです。
開始当初は緊張の面持ちだった生徒たちも、徐々に大きな声でお客様に呼びかけができてきました。そしてなんと、午前中にはオリジナル弁当が完売しました！

9月24日（日）10：00～
前日とうってかわって、ピーカンの晴天でした。
来場者も、土曜日の倍の人数を記録しました。
前日の出店で要領を得た生徒たちは声掛けも清算も手慣れた感じで作業をスムーズにこなしていました。立案から野菜の収穫まで自分たちが関わり作った弁当がどんどん売れていく体験を目の当たりにし、満面の笑顔が溢れていました。
なんと約1時間で前日の倍以上のお弁当を完売させました。

今回、仕入れから仕込み、販促から販売まで、一環の流れをコーディネートさせていただくことで、生徒たちには市場の一部をご体験いただきました。
特に大切なのは、人と人とのコミュニケーションの大切さです。生徒たちにはお客様の手元にお弁当が届くまでに、本当に多くの人々が関わっていることを学んでいただけたことに、私自身喜びを感じています。